上杉隆『ジャーナリズム崩壊』

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

どうやら崩壊しているのは教育やら医療だけではないらしい。

幻冬舎新書から出ているジャーナリスト上杉隆氏の『ジャーナリズム崩壊』を読む。

ジャーナリズム崩壊といっても今に始まった崩壊ではなく、長いこと日本において‘健全なジャーナリズム’を妨害し続けてきた悪名高き‘記者クラブ’がいかにジャーナリズムを崩壊させてきたかを丁寧に批判しているのが本著。

記者クラブや日本のジャーナリズムへの批判自体は的を射たものだろうとさほど異論はないのだけれど（というか実感を伴う持論を持ち合わせていないので異論の出しようがないというのが正直なところ）、比較として挙げられているニューヨーク・タイムズにおけるジャーナリズムがあまりにも素晴らしいので、‘健全なジャーナリズムのあるべき姿はニューヨーク・タイムズ？’というはてなが浮かんでしまったり。

興味深く拝読したものの、もっと世界のジャーナリズムの実態について知らんことには、上杉氏の言っていることを鵜呑みにして賛同するわけにもいかんような気がするので、とりあえず保留。

いずれにせよ、上杉氏がジャーナリストなことには異論なし。
この本を世に出せる強靭さには、ひどく嫉妬してしまうよ。

誰かがものすごい勢いで彼を批判していたら、「あぁ、そうなんだ。まぁわからなくはないけどねぇ」とかってヘラヘラしてしまうだろう人間としてはさ。